Uボート映画
U-900
ドイツでは2008年に公開された戦争コメディ。
案の定、日本未公開でしたが、DVDでお目見えしました。
http://wwws.warnerbros.de/u900/
原題は全然違うのに、日本のDVDタイトルにUナンバーが振られることが多いですが、これ正真正銘のUボート映画です。
物語は、1944年。いかにも胡散臭い主人公(後のニセ艦長)が、海軍大将の奥方と浮気していたのがバレて追われたため、Uボートでニューヨークへ渡ろうと画策。相棒のユダヤ人が発明した電気式揚げ物調理器をニューヨークで売り出そうととか何とか言って騙し、そのユダヤ人と、ヒッチハイクで捕まえたケーキ屋のお姉さんと3人で士官になりすまして、U-900を乗っ取る。しかし、そのU-900にはヒトラー所望の聖杯が積んでおり…という話。
陸路を運ぶと思わせておいて、トゥーロンからU-BOOTで出航し、ヴァーネミュンデへ。ということで、そこには難関・ジブラルタルが…。
ここで、これまでにジブラルタルを抜けたただ一人の艦長、レーンベルク大尉が幹部の会議に登場します。(彼は手榴弾を足蹴りして部下を救い、親指を失っているらしい。故に英雄)
艦長帽に皮コート、騎士十字章をぶら下げていますが、このレーンベルグ大尉を演じているのが、『U・ボート』で下士官兵ピルグリムを演じたヤン・フェダー。
こちらが若きヤン・フェダー氏。アウトローなままオヤジになってますね。
ジブラルタルを抜ける秘訣は、海底230mに潜って「ポセイドンの割れ目」を通ること。
ここでレーンベルグ艦長(ピルグリム)が言い放ちます。
「深度など関係ない、ドイツ製なら可能だ」
うーむ。名言です。
そう言ってる間に、艦は乗っ取られることになり、その後は、主人公のニセ艦長と、彼をレーンベルグだと思い込んでいる乗組員、それを漁船で追いかける海軍大将&少尉のドタバタ劇が繰り広げられます。
ニセ艦長はジブラルタルを抜け、ニューヨークを目指すのですが、初めての艦内は物珍しいものばかり。乗員が当直中なのにレバー引いてバラストタンクに注水してしまうし、ピンチの切り抜け方も奇想天外で、他の潜水艦コメディに引けをとらないと思います。でも念のため言っておきますが、ドイツのコメディです。
『U・ボート』のパロディ、いや、オマージュもたっぷり用意されています。
撮影に使われた艦は、ミュンヘンのU-96と、マルタ島にある『U-571』で建造したUボートのようなので、ここらへんは侮れません。
さらに、この映画にはもう1人、重要な人が出演してます。
それが、この人。(左)
『U・ボート』で次席士官を演じたマルティン・ゼメルロッゲの息子、ダスティン・ゼメルロッゲ(Dustin Semmelrogge)君であります。
お父さんの面影がたっぷりと…目元、口元、愛嬌のある感じがそっくり。通信兵ティルコフスキーを演じますが、記者らしき兵をいじる役目なので、血は争えませんね。
調べてみると、ダスティン君は1999年に「Bang Boom Bang」で父親と共演してデビューしています。
http://www.imdb.com/name/nm1110828/
そして、生まれは1980年6月23日。
ということは…『U・ボート』では、役者がスタジオに入って撮影を始めたのが1980年7月7日からなので、次席士官は息子が生まれて2週間足らずで撮影に入ったことになります(たぶん)。幸せ絶頂の時だったんですね。