調査報告書

映画撮影

映画撮影撮影では、シカゴに現存するU-505を綿密に調査して造られた実物大のUボートが2隻(海上撮影用とスタジオ用)、さらに3艇の小型レプリカが用意された。その他、原寸大の艦橋だけのセットも造られ、動く台座に乗せられて四方八方(放水銃、手動ポンプ、5mの高さからの滝…おまけに送風機)から水を浴びることができた。

艦内の撮影はオープンセットではなく、スタジオ用に建造された五号艦の中で撮影された。そのため俳優たちは、実際のUボート乗組員が体験した揺れや水浸しの生活を強いられ、船酔いや閉所恐怖症、「いわしの缶詰ノイローゼ」に陥る者もいたらしい。爆破の衝撃に耐えるシーンでは、「演技どころじゃなかった。まっさおで死ぬかと思ったよ」と俳優たちが口を揃えていうほど強烈だったらしく、映画の後半の俳優たちの蒼ざめた顔と髭ヅラは役作りではなかったようです。

ラ・ロシェルの出航時の撮影に使用された二号艦は、同時期に撮影されていたスティーブン・スピルバーグ監督の『レイダース 失われたアーク』に駆り出され、ナチス潜水艦U-26として登場している。『U・ボート』の撮影でクルーがフランス入りする前に数日間だけスピルバーグに貸し出したものだったが、返却されたその艦で撮影しようとしたところ、桟橋に繋留しているハズの艦が行方不明に…。前の日の嵐で沈んでしまったらしいのだが、それ以来ペーターゼンはスピルバーグに会う度に、「ネジを外したんだろ?」とからかっているらしい。

映画の撮影用に建造されたUボートは現在、バヴァリアフィルムスタジオの広場に展示されています。

一号艦 全長5m。主にプールでの撮影や魚雷発射シーンで使用。
二号艦 全長67m。主にラ・ロシェル港のシーンで使用。中は空洞で潜航は出来ないが、ネジ一本~スクリューに至るまで実物どおりに再現され、エンジンもつけられている。
三号艦 全長2.5m。リモコンで水中、水上を問わず走れる。
四号艦 全長11m。実際に鋼鉄を使って溶接され、操縦もマニュアルで行われた。魚雷発射シーン、荒れた海や水中でのシーンで使用。
五号艦 全長55m。艦首と艦尾を除いた円筒形の竜骨に木と鋼材でつくった各部分をとりつけた。メイン・バラスト・タンクには水代わりのスポンジを詰め込んでいる。スタジオ内に8mの高さでセットが組まれ、45度まで傾斜が可能。内部撮影用。

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